春と恋と君のこと

春と恋と君のこと【第1話】ネタバレ!恋をしたくない少女と、ナルシストな少年の物語がスタート!

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別冊マーガレット4月号(3月12日発売)、新連載・春と恋と君のこと【第1話】のネタバレ・感想をまとめました。

春と恋と君のこと【第1話】ネタバレ

[青春時代だとか、一番楽しい時期だとか聞くし]

学生寮の入寮にあたっての、説明会。

≪異性の寮への立ち入りは禁止になっています≫

[だから、高校は絶対]

≪寮内の男女交際も原則として禁止です≫

(よし…)

[恋愛なんてないところに行かなきゃと思ったの]

「じゃあお母さん帰るね。

頑張ってね!」

「うん、また明日入学式で」

[明日から高校生。

一足先に、今日からここの寮生です]

(男女交際禁止…このために受験勉強がんばったんだ。

ここでなら、きっとうまくやっていけるはず。

今までの私とは変わるんだ】

寮を眺めなているところで、声をかけられます。

「三島さん?」

「はい」

「松山瑠々(まつやまるる)です。同室だからこれからよろしくね!」

「あっ、三島紘果(みしまひろか)です。

えっと、い、至らないところもあると思うんですけど…嫌な所あったら何でも言ってください!

がんばって直すので…、どうぞ末永く…よろしくお願いします!」

深々と頭を下げる紘果に驚く瑠々。

「そんなかしこまらなくて大丈夫だよー。あたしにもなんでも言って!

3年間部屋替えないんだってー、末永くだね!」

笑顔で話してくれる瑠々に、紘果は安堵します。

(いい子…)

[よかった――、絶対仲よくなろう…!]

その後、先生の指示でまた集まる入寮生たち。

「みんないますかー? 今日は初日だから…早く親睦を深めてもらうために、これからレクリエーションの時間にしようと思います。

あー、あとそうだ。

さっきは親御さんもいたから一応寮則読み上げたけど、高校生に恋愛禁止なんて酷なこと言うつもりないので安心して仲よくなって3年間楽しく過ごしてくださいねー」

その言葉に、呆然とする紘果。

その隣で瑠々が「よかった~!」と喜んでいました。

「さっきすごいイケメンたちいたんだよねー、あんなの普通に好きになっちゃう…ってあれ!? ど、どーしたの顔色…」

「……あ、なんでもない…イケメンね…うん、好きになっちゃうよねー」

空笑いをしてみせる紘果ですが、ショックな様子。

[うそです。

私は恋愛がわかりません…。

そのせいで中学の時いろいろあって、周りに恋愛がないところに逃げてきた…はず、なんだけど…]

そんな紘果のことには気づかず、瑠々は彼女の腕を引っ張ります。

「大丈夫ー? 缶蹴りが始まってるよー 隠れるよー、あっ!」

その先では、何やら女子に囲まれている男子が二人。

「うそー、ふたり同室なの?」

きゃいきゃいとはしゃいでいる集団を見て、瑠々が「あの人たち! さっき言ってたイケメン♡」と紘果に言います。

「名前なんていうんですか!」

女子に聞かれ、男子二人は答えました。

「瀬田藍里(せたあいり)」

「須藤泰臣(すどうやすおみ)」

そんな楽しそうな様子を見て、紘果はしゃがみこんでしまいます。

「……もうキャーキャー言ったりしてる…」

「えっ、どうしたの本当! 具合悪い?」

それに男子の一人・藍里が気付いて近づいてきました。

「大丈夫?」

「……モテそう…」

人当たりのいい藍里の笑顔に、思わずつぶやく紘果。

「えっ? そんなことないよ…でもありがとう」

「具合悪いわけじゃないです…ありがとうございます」

「そうなの? あ、緊張してるとか? …そーだ。

さっきいいこと聞いたんだけど、敷地内のどっかに地面の模様がハート型に見えるとこがあってね?

その中に立ってキスしたカップルはずっと一緒にいられるんだってさ。

この寮のジンクスだって」

その話を聞いて食いつく瑠々。

けれども紘果は……。

「ね、きっと楽しいこと色々あるから元気出して…え、あれっ?」

泣きそうな表情を浮かべ、そのまま逃げ出してしまったのです。

走りながら、紘果は心の中で叫びます。

[恋愛の何がそんなに楽しいの? わかんないよー!]

 

缶蹴りの最中、いろいろなことを考えながら走っていた紘果は寮の中へ。

一人階段を上っていると、屋上の扉を見つけます。

(疲れたな…どっかひとりで考えたい…ここ屋上? 入れないよねたぶん)

しかし、鍵が開いていました。

(あれ?)

気になってドアノブをつかんだ瞬間、そのドアが開かれて紘果も引っ張られてしまいます。

「え、わっ!」

ドアを引っ張ったのは、藍里でした。

「!? あぶなっ…」

そのまま、衝撃で二人は倒れこみます。

(あ……)

目を閉じていた紘果が目を開けてみたのは、至近距離の藍里の顔。

唇が、触れていたのです。

[どうしよう? とりあえず目立つ人には近づかないようにしようって、今考えてたとこだった…]

起き上がってみると、藍里が真っ赤になって口元を抑えていました。

「…うそ……なっ、なな、なんてことすんの…!」

震えながら、より真っ赤になる藍里。

対して、冷静な紘果はとりあえず頭を下げます。

「あ…ごめんなさい、ぶつかって…痛かったですか?」

「違くて! キ…キキ、キス……しちゃったじゃん!!」

何やら意外な反応に、少し面食らう紘果。

謝りながら、自身の口を拭きます。

「あっ! ていうかさっきの子じゃん! なんなの!?

さっきのも元気ないから女子が好きそうな話したのに、わけわかんない顔して逃げるし…」

赤くなりながら話す藍里に、また紘果は淡々と謝ります。

その中で、藍里の雰囲気がだいぶ違うことに戸惑います。

「しかもおかしくない? 俺とキ、キスとかしちゃったら『こんなイケメンとキスしちゃった~! もう一生顔洗わない~!』みたいになるもんじゃないの!?」

そう言われ、紘果はとりあえず頬に手を当てました。

「……こんなイケメンとキスしちゃった……」

そのセリフは棒読みで。

「へたくそ! 1個も思ってないじゃん! 信じらんない…」

「すいません…」

紘果は、心の中で考えます。

もしかしてナルシスト? と。

「…汚すぎない? 一生顔洗わないの?」

「例えだわ! そのくらい感動したよっていう」

「へぇ」

[むずかしい…感動って何? 衝突しただけだよね…]

「なんだよもう…なんでこんな変人に…俺の初めてが…」

「…はじめて?」

「あ、えっ、いや!? 違うけど!?」

墓穴を掘った藍里は再び顔を赤くします。

そんな藍里を見ながら、表情を変えない紘果。

[なんか本当さっきと別人だなぁ…まあ何か理由があるのかも。

でも、どっちにしろモテる人だろうし…あんまりしゃべっちゃだめだ]

「じゃあ、あの…お邪魔しました」

「あ! ちょっと待って、まだ言っときたい…」

呼び止めようとするも、紘果は足早に去っていくのでした。

 

夜になり、紘果は瑠々と共にお風呂を楽しんでいました。

「ちょっと元気になった?」

「え?」

「お昼より元気に見える! よかったー」

[私考え事ばっかりして…]

「あ…初日からなんか私ずっと様子おかしくて…ごめんね」

「ううん、おかしくないよー。

さいしょ緊張するし疲れるよね! …大変なこととかもありそうだけど、一緒に楽しもうね!」

笑って言う瑠々に、嬉しくなる紘果。

[本当にいい子でよかった]

「うん、ありがとう…」

言いながら、彼女ともっと仲良くなろうと少し抱き着いてみる紘果。

「ちょっと、ハダカでそんなくっつかれると照れる!」

そこに、隣部屋だという女子生徒が話しかけてきて、挨拶をします。

[ここで過ごすんだな…]

少しずつ打ち解けながら、紘果は切り替えようと言い聞かせます。

[恋愛に関わらなければ、きっと頑張れる]

 

翌日になり、入学式を迎えた紘果たち。

「クラスも一緒でよかった」

「ね! たまたまかな?」

紘果と瑠々が教室に向かっている途中、廊下にはまた女子に囲まれている藍里の姿が。

「えー、寮入ってるんだ!」

「めっちゃかっこい~!」

「あっ! 彼女は? いるんですか?」

「彼女? 今はいないかな」

その横を通りながら、紘果は思わず口を開きます。

「…いや、今はっていうか」

瞬間、紘果の口をふさぐ藍里。

静かな笑顔には「ついてこい」と書かれているようでした。

 

誰もいない階段の下で対面する紘果と藍里。

「どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ。

何言おうとしたよ?」

「彼女、今までもいたことないんじゃないかなーって」

「ほら! だめ! …昨日うっかり本性バレたし、もう言うけど…中学時代は中身が残念とか言われてちょっとモテに陰りがさしたから…」

中身、という言葉にナルシストなとこ? と心の中で考える紘果。

藍里は続けます。

「不本意だけど高校からはちょっとキャラを演出しようと思ってて…でもたまに息抜きできるとこ欲しくて、きのう屋上をピッキングしたわけだけど…もろもろ言わないでください。

…昨日それ言う前に逃げられたから」

「恋愛経験ないのも…? 内緒?」

「そーだよ! いっぱいありそうな方がいいじゃん」

「そうなんだ」

(…さっぱりわかんない、けど)

「わかった、誰にも言わないので」

そう言って、さっさと去ろうとする紘果。

「あっちょ、待て! そのなんか嘘っぽいかんじとか…すぐ逃げるのなんなの? 昨日から」

「え…いや別に」

「なんかあるならそっちも話しなよ。

こっちだけ弱み見せんのやだし」

藍里に言われ、素直に紘果は話し始めました。

「中学の時…2年までずっと仲よくしてた友達がいたの。

男の子と女の子…だけど、」

 

その男の子は、ある時紘果に言ったのです。

「…好き、なんだけど…その、友達としてじゃなくて…付き合ってくんない…?」

[付き合う…?]

「ごめん、私はそういうのよくわかんなくて…友達でいたい」

その紘果の言葉に、男の子は力なく笑います。

「…だよな、そんな気してた。

わかった頑張る」

「…ごめん」

[頑張らせて、しまうことなのか。

今までどおり仲良くしてたいだけなのに]

時は流れ、数か月後。

女の子と男の子が付き合うことになった、ということを打ち明けられたのです。

「だから、もう浩太とふたりで遊んだりするのナシね」

「え、なんで…浩太は私にとっては友達だし、今まで通り…あっもちろん3人で遊んだりもしたいし」

何もわかっていない紘果に、強めに返す女の子。

「あたしはそういうの無理なの! しかも浩太がひろのこと1回好きだったの知ってるんだからね! 絶対無理!」

「で、でも」

「なんでそういうの普通にわかんないの!? 前から思ってたけどほんと無神経! 紘果って人の気持ちわかんないんだね!?」

女の子の訴えに、紘果はショックを受けます。

 

藍里の前で俯きながら話す紘果。

「…わかんなかった。

恋とかしたことないし、してる人の気持ちは今もわかんない。

だからせめて周りに恋愛さえなければ、きっと人のこと傷つけないで楽しく過ごせると思って…ここの寮即知ったから頑張って入ったのに…。

なのに寮監さんが自由に恋愛していいよとか言うから、せめて人のこと傷つけないようになるべくいい人でいようって思って…。

あとモテる人はたぶんトラブルの元だから、あんまり近づかないようにしようかな、っていうかんじ…です」

「女子校とか行けばよかったんじゃ…」

藍里の指摘に、紘果は驚いた顔になります。

「なにその目から鱗みたいな…」

「じょしこういけばよかった…」

「あー、そうね? 受験前に気づけばよかったね?」

どんまい、と続ける藍里。

「…昔みたいに、ただみんなで楽しくいたいだけなのにな…。

いつのまにか子供の頃と全然違くなっちゃった…きのうの缶蹴り中だってみんな他のことに夢中で…」

「つまんなかった?」

頷く紘果。

「…なんかしゃべりすぎたかも、ごめんね。

忘れて」

じゃ、と言って紘果は今度こそ去ります。

残された藍里は首を掻いて呟いたのでした。

「…許せないな」

 

夜。

紘果と瑠々が部屋で過ごしていると、不意に窓からノック音が。

「え、だれ!? 窓?」

紘果は閉めてあったカーテンに手をかけます。

「開ける?」

「えー待って、こわくない?」

躊躇なく紘果がカーテンを開けると、そこには藍里が。

「な、何してるの? 女子寮来るの禁止だよ?」

「まーまー、内緒にしてね」

(あ…そっか。

瑠々もいるからうさんくさい人バージョンか…)

「ちょっと出てきてよ、外」

「え?」

「昨日の缶蹴りつまんなかったとか言ってたでしょ。

やり直そうよ今から」

「えっ今? もう出ちゃいけない時間だけど…」

「夜だから楽しいんじゃん」

藍里は瑠々に愛想を振りまきます。

と、そこで。

「あ、いた!」

入寮式の日に藍里と共に騒がれていた、泰臣がやってきました。

「ちょっと…ルームメイトも共同責任になるんだからやめてよ? さっそく夜這いとか」

「よっ…!? な、何言ってんの!?」

夜這い、という言葉に反応して赤くなる藍里。

「違うの?」

「違う!」

そんな藍里の様子を見ながら紘果は「この人たぶん本性バレるの時間の問題なんじゃないかな」と考えます。

そのとき、別室の窓が開いて女子が顔を出してきました。

そして、あっという間にイケメンたちがいる! と軽い騒ぎに。

やがて、みんなで缶蹴りをすることに。

「よし、じゃー敷地内に隠れて」

「最後まで見つからなかった人は1週間俺たちと朝食食べるって事でどうかな?」

その瞬間、女子たちが一気に乗り気に。

「じゃ、スタート!」

各々走っていく女子たち。

その様子を見て、紘果は不思議に思います。

(きのうの缶蹴りと…全然テンション違うじゃんみんな)

藍里が言います。

「ほらお前も早く隠れて」

「いやー…私イケメンとのごはんとか遠慮したいので…帰っていい?」

そう言いつつ、寒そうに腕を抱える紘果。

「だめ、お前がつまんなかったとか言うからリベンジなの」

紘果が寒そうにしていることに気が付いたのか、藍里は上着を差し出しました。

「ガチで隠れてよ?」

そのまま流されてしまい、仕方なしに参加することに。

 

(登れちゃった)

高い木の上で、周りの様子を見る紘果。

その下では、女子が泰臣に見つかっていました。

(さすがにこんな騒いでたら寮監さんに見つかっちゃいそう…みんなで怒られるのかな。

…でも、みんなちゃんと楽しそう。

すごいのかも、イケメンっていう人たちは…)

風に吹かれながらそんなことを考えていたとき、藍里がやってきます。

「発見。

…本気で隠れた?」

「本気だよ。

こんなとこまで登ったんだよ?」

「まぁそーか…イケメンと食事はできないねー、残念!」

「え…あ…そうだねー、残念」

笑ってみせる紘果ですが、愛想笑いのようです。

「遠慮したいっつてたじゃんさっき」

「あー、そうだっけ」

「…今のもなんかいい人ぶってるつもりのやつ?

そんな無理すんの楽しい? 楽しくないならすぐ辛くなると思うけど…あと詰めが甘そうだしなー。

向いてないよ、猫かぶるのとか」

[じ、自分のことすごい棚に上げるこの人…]

「あ、俺に言われたくないとか思ったでしょ?」

「そっちは楽しくやってくために無難な人っぽく無理してるじゃん。

それがもう楽しくなくない? 本末転倒じゃん」

「ほ…本当だ…」

「色々抜けてんなー。

さてはバカだな?」

「…でも本当の自分じゃ傷つけちゃうって学んだから…私は人の気持ちがわからない冷たい人だから」

「それその中学の時の友達に言われたの?」

『そんな冷たい人、もう友達でいるの無理』

「そんなこと言っちゃう友達の方が、冷たいって話じゃないの?」

「ちがっ…」

反射的に身を乗り出そうとする紘果ですが、その衝撃で木からずり落ちてしまいます。

しかし、どうにか気に掴まることができ、宙づりに。

「…いい子だったもん」

「降りなよとりあえず…」

「ケガしそう」

「…じゃ受け止めるから、手離して」

「まだそんなに信頼できる仲では…」

藍里の厚意を無下にする紘果に、ショックを受ける藍里。

「…俺さ、自分のこと最高に好きなんだよね」

「…はい」

「自信もあるし、だから人のせいとかで簡単に傷ついたりしない。

大丈夫、俺はいなくなんないから。

信用してみ?」

そう言って手を広げる藍里。

そんな彼の言葉と表情に、紘果は木から手を放して藍里に飛び込みます。

二人はまた倒れこんでしまいます。

「セーフ…? 痛いとこない?」

「……いい子だったの」

「え? あ、友達? わかったよ悪かったよ」

「いっぱい叱ってくれていいから…離れていかないでほしかった。

ふたりの気持ち想像できるようになるまで、頑張るから一緒にいたかった。

ふたりのことちゃんと好きだったのに…浩太のことも、違う気持ちかもしれないけど本当に好きだったのに…もっと大事に…したかったのにな――…」

紘果の目には、涙が浮かんでいました。

「ほらね。

こんな風に後悔して泣いてる人、冷たい人とは言わないって。

友達の言葉が呪いみたいになっちゃってるだけでしょ? 大丈夫、変な奴だとは思うけど、冷たい人じゃないよ」

藍里の「大丈夫」の言葉に、嬉しくなる紘果。

[ずっと、誰かにそう言って欲しかったのかな…]

「気持ちわからないってのも恋愛に関することだけでしょ? そんなら俺もそうだけど、何が悪いの?」

「え、好きな人とかもいたことないの?」

「ないよ。

俺以上に俺を夢中にさせる子に出会えてないだけだから、何も気にしてないけどね」

平然と言う藍里に、首を傾げる紘果。

「別に人それぞれでいーじゃん。

俺はモテるのは大歓迎だけど…ちょっとリアルの色事とか女子との接触は苦手というか…。

告白も全部断っちゃってるし…だからそろそろちょっと離れてもらえると…」

「あ、ごめん」

「まあ苦手っていうか、それもチャームポイントなんだけどね。

イケメンなのに!? っていうギャップね」

「へりくつじゃん。

…自分が一番好きなのに服貸してくれたり、今も下敷きになってくれたのすごい不思議なんだけど…」

「そりゃ人に優しくできない自分とか嫌いになっちゃうじゃん?

常に自分が好きって思える自分でいたいもん、俺」

(好きって思える自分でいたいから、人にも自然に優しくなれる…ってこと?

…もしかして、ナルシストってすごくない…?)

「ナルシストさんは…名前なんていうんだっけ」

「ナルシストって俺のこと…? 瀬田藍里だけど…」

「瀬田くん…」

「藍里でいいよ。

キレーな名前でしょ」

「あー…うん、藍里」

[私も、そんな風になれたら]

「あのね、友達になりたい」

「へー、モテる人に近づかないルールはもういいの?」

「う…うん。

恋愛、周りの人がするのはしょうがないし…わかんなくてもその中で成長するしかないんだよね…」

気が抜けたのか、表情が柔らかくなった紘果は言います。

「私も藍里みたいに、なれたらいいだけなんだよね。

自分がいいって思える自分になりたい」

紘果のそんなセリフに、藍里は微笑を浮かべます。

「恋愛しない女子まで夢中にさせてしまったか…。

すぐ好きになられちゃうから普通の女友達ってちょっと貴重だし、本性もバレちゃってるし。

いーよ! ていうか友達でしょ? 同じ寮にいるんだし、よろしく」

「三島紘果です、よろしく……あっ」

そこで、紘果は気が付きます。

二人の傍の地面の模様に。

「これかな、ハートの地面って」

「あー、俺が言ったやつ? そーじゃない?」

「……こっち来て」

「えっ、さ、させないよ!? 1度ならず2度までも…」

勝手に赤くなる藍里に、冷静に「何言ってるの?」という感じでつっこむ紘果。

「でも、ずっと一緒にいられるっていいよね…友達でもなんでも」

紘果は、藍里に小指を差し出しました。

指切りです。

「願掛け。

ああいうお別れ、もうしたくないの」

「あー…、なるほど?」

よくわからないながらも、その指切りに応じる藍里。

そのすぐ近くで、康臣と他の女子が「見つけた」というやりとりをしていました。

かくれんぼ中だったことを思い出し、紘果は思わず笑います。

「なんか…何やってんだろ、こんな時間に」

その笑顔を見て、藍里は楽しい? と聞きます。

「ん? うん」

「よし。

2度と俺の前でつまんないとか言わないでよ!」

「え…」

「俺の近くにいるのにつまんなさそうにされるの許せないんだよね…」

「そ、それが許せなくて連れ出してくれたの? さっき」

「そーだよ、女子校行けばよかったとかも2度と言わないでよ! 女子校に俺はいないんだから!」

紘果の必死な顔に驚いた後、紘果は笑い声を上げだします。

「なに?」

「だって、そんなのずっと根に持ってたとか…自分好きすぎじゃない?」

あはは、と笑う紘果を見て、普通に笑えるのかと思う藍里。

そして、自信満々な顔で言うのです。

「…当たり前じゃん。

出会えただけでラッキーだったって、絶対思わせてみせるから!」

「…楽しみ」

「俺のこと好きになっても責めないからね」

「ならないってば」

[きっと、私にも見つけられる。

そんな予感がするの]

そうして、二人は缶蹴りに戻るのでした。

 

春と恋と君のこと【第1話】感想

新連載、ということでどんなストーリーなのかな? と読んでみましたが、個人的にとても好きな感じです。

クールというか表情を出すことに不器用? な女の子と、ちょっとナルシストでバカっぽい男の子。

掛け合いが絶妙ですね。

藍里もナルシストなところがありつつ、いい子なんだなぁと思わせられるキャラしていますし、紘果も優しい女の子です。

今後はきっと紘果は藍里と過ごしながら、誰かに恋をしていくのでしょうが、どういう風に成長していくのかワクワクします。

第2話では、どんな展開が待っているのでしょうか。