ヨシノズイカラ

ヨシノズイカラ【第5話・1巻発売と新たな決意】ネタバレ!

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月刊少年ガンガン5月号(4月12日発売)、ヨシノズイカラ第5話のネタバレ・感想をまとめました。

前回のあらすじ

新たなる挑戦として、ファンタジー物とは真逆の離島の日常物語を描くことになった、売れない崖っぷち漫画家・遠野なるひこ。

ネームが思うように進まない、と嘆く彼にアシスタントのとし坊は謎の故人の家での作業を提案します。

故人の家に怯えつつも、そこで普段からは想像つかない程の集中力であっという間にネームを完成させました。

いよいよ、本格的になるひこが作り出す新たなストーリーが始まるのです。

ヨシノズイカラ 第5話【1巻発売と新たな決意】ネタバレ

[連載が始まって半年。

わっかもん1巻、発売]

地元の本屋にて、最新刊のコーナーで自身の本を手に取るなるひこ。

緊張の面持ちで、それを購入して駐車場へと戻ります。

「どうでした?  出てました?」

車内で待機していたとし坊が笑顔で聞きます。

「うん…出てた」

信じられない、という表情で単行本を見せるなるひこ。

 

[1巻が発売される2ヶ月前]

「あの…林さん。

ちょっとコレ本当に不安なんですけど」

『大丈夫! 大丈夫ですって!』

なるひこのパソコンモニターの画面には、単行本の表紙のデータが表示されていました。

そのイラストは、キャラクターが真ん中に1人描かれていて、あとはタイトルと作家名が記載されているだけ。

「1巻ですよ!?  こんな白い背景にキャラがポツンといるだけでシンプルすぎません!?」

なるひこは続けます。

「1時間もかからなかったし、レイヤー3枚で描けました…」

『大丈夫ですって。

私シンプルなの好きなんですよ』

「まさかの担当者好み!?」

そこに、とし坊が何やら荷物を持って尋ねてきました。

「先生、宅配便届きましたよ。

あ、電話中ですか?」

その声が聞こえたのか、電話先の担当者が言いました。

『そうそう、ファンの方から届いたお花送りました』

「あっそういえば言ってましたね」

『ドラゴンライオン王国の最終巻のお祝いですよ』

荷物の中には、可愛らしいフラワーアレンジメントと1通の手紙が入っていました。

「ゆきこさん…最後までありがとう」

電話をしながら思わず呟くなるひこ。

[こんな私のことを好きだと言ってくれる人がいる。

ゆきこさんは私が初めて連載してた頃から手紙をくれていたファンの方だ]

荷物のフラワーアレンジメントを手に取り、なるひこは唸ります。

「やっぱり表紙はもっと華やかにしましょう!  本屋に並んだ時にパッと目につくように!」

『いやいやいや、先生の絵には力があるからキャラだけの方が目を引きます!!』

「えっ」

担当者の言葉に、照れた表情を浮かべるなるひこ。

「そっ…そんな理由ならまぁ、白背景でも…」

そんな様子を、とし坊はただ笑顔で見続けます。

やがて電話を終え、表紙のデータを送信したなるひこは叫びました。

「あーーーー!  おだてに弱い!  なんでオレはこんなにおだてに弱いんだ!!」

「おだてじゃなくて本当にそう思ってるんじゃないですか?」

畑の作業をしながらとし坊が笑いかけます。

「とし坊は林さんの怖さを知らないんだよ!  おだてられたり言いくるめられたり…結局オレの言い分の通らない1巻になってしまった」

「でもずっと楽しそうに描いてましたよね?  全てスムーズに」

「オレだけの問題じゃないんだよ!  ゆきこさんは、ずっとオレのファンタジーマンガを応援してくれてたんだ…」

[遠野先生、この度はお疲れさまでした。

先生の描かれる独特の世界観が大好きです。

次の作品を楽しみにしてます]

ゆきこさんからの手紙を見てなるひこは涙目に。

「うっ…オレの世界観が好きなんだって…。

なのに…担当さんに言われるがまま日常マンガを描き、描きやすいだの資料が近くにあって楽ちーんだの、大事な表紙はキャラが1人立ってるだけ!」

更になるひこは叫びます。

「こんなんでいいわけない!  苦しみながら生みだしたものじゃないと人の心はつかめない!  こんなんじゃゆきこさんに申し訳ない…オレのファンへの裏切りだ!!」

そんななるひこに、とし坊が声をかけました。

「先生…そんなに思いつめんでも、ゆきこさんにとってマンガ家は先生だけじゃないんだし」

笑顔で辛辣なセリフを吐いてくるとし坊に、なるひこは更に泣きます。

「いや、そういんじゃなくて。

先生みたいなマイナーマンガ家を知ってるなんて、相当オタクち思うとですよ」

「まあ…確かに」

「沢山読んだ中から先生を見つけだして、ファンレターまで送ってきた…それって発掘ですよ。

自分が誰よりも先に目をつけた才能が、誰の目にもふれられず消えるなんて…オレなら絶対嫌です!」

大根の種が入った袋を握りしめながら熱弁するとし坊に、改めてフラワーアレンジメントに目を落とすなるひこ。

「ゆきこさん、ジャンルが変わっても応援してくれるかな?」

「してくれますよ!  第一発見者なんだから!

先生が本当はマンガが描きたいっていうより売れたいんだってわかってくれますよ」

「超人聞き悪い」

「評価してもらいましょうよ。

それがマンガ家ってもんでしょ?」

「う…うん、そうだね」

「売れるか売れないかなんて本を出さなきゃわかんないですから。

今できることをコツコツやるんです!」

「よ…よし」

とし坊に気圧され、戸惑いながらもやる気を出すなるひこに、とし坊は手を差し出すように言います。

「じゃあコレ!」

「え?」

「大根の種まきましょう!」

「えー…原稿描きたい…」

「今やるべきことですよ」

「はいはい…」

[そして、最初にもどる]

本屋から帰宅したなるひこと、とし坊。

「1巻も出たし、まいた大根も収穫の時ですよ!  オレひっこぬくんで写真撮ってください」

「うん…」

カメラを差し出すとし坊に反し、自分の作品を見返すのに必死ななるひこ。

「あー…ここんとこもっと描き込めば良かった…次からはもっとちゃんとしないと」

ブツブツ呟き始めたなるひこを、とし坊は写真に収めます。

「えっ何!?  なんだよ!」

無言と笑顔でシャッターを切るとし坊になるひこは戸惑います。

するととし坊がしゃがんで言いました。

「先生、1巻発売とのことで今のお気持ちは?」

「えー、何それ?」

「インタビューです。

手応えはどうですか?  もっと本を見せてください」

「手応え?」

「自信のほどは」

「自信は、もちろん…」

俯くなるひこ。

しかし、すぐに顔を上げて言います。

「あります」

なるひこの真剣な顔に、おお!  ととし坊も声を上げます。

「めずらしく言い切りましたね!  半年の連載でとうとうハラを決めたんですね」

「うん…本屋さんの期待がすごくて…あんなにしてもらったらやりたくないどうこう言ってらんない」

「地元は推してくれますもんね」

とし坊が立ち上がり、スマホをいじります。

「でも地元だけじゃないみたいですよ」

「えっ、何何!?  ネットの評価とか見すんなよ!  オレはいい感想だけ聞いて生きていくんだから!!」

「そういうんじゃないですよ。

ホラ、これ友達が送ってくれた東京の本屋の平積み写真です」

「えっ」

そう言ってとし坊が見せた写真には、本屋の新刊コーナーにたくさん積まれたなるひこの作品。

「そしてこれが大阪、福岡も」

「マジか…友達多いね」

「転々としてたんで。

それはどうでもよかでしょ?」

その時、なるひこの携帯が鳴りました。

「あっ…オレの方にも圭くんから!」

そのメッセージには、とし坊の写真と同じように本屋内にてたくさん積まれた単行本の写真が送られてきていました。

「うわわわ、大丈夫かなこんなに売り出して…出版社潰れないかな…」

「社運かけるほど期待されてないでしょ」

「担当さんがクビになったらどうしよう」

「そんなに不安がらなくても売れますって」

スマホをしまい、再びカメラを構え直すとし坊。

「じゃあマンガが売れて大金持ちになったらどうします?」

「あ、インタビューの続き?  えー、どうしようかなー…。

まずはデジタル機器を買うために親に借金してるからそれを返す。

プリンター古いから買い替えたいし…あ、ペン先を10ページに1回じゃなくて5ページに1回とりかえたい。

手袋は毎話新しいの使いたいし、それから…」

「マンガのことばっか!

もっと旅行行きたいとか、高級料理食べたいとか、車欲しいとかないんですか?」

とし坊の質問に、なるひこは少し唸ります。

「基本机周りが充実してればいいや」

「なんかスケール小さいですね」

「あたりまえだろ。

オレの世界なんて小さいんだから」

言いながら、なるひこは畑の大根の元に寄ります。

そして細い筒を手に取りました。

「視野なんてこんなもんだし」

「おっ、いい棒!」

「いいだろー」

「なんの棒ですか?」

「なんでそんなに興味津々なの?」

なるひこは筒を目に当て、覗き込みます。

「そんな穴からじゃ何も見えんでしょ?」

「いや見える!」

「何が見えるんですか?」

とし坊の質問に、なるひこは自信に溢れた声色で言います。

「オレの世界」

「さすが元ファンタジー作家」

「あっ東京が見える!  大阪も!」

「そっち西ですよ?」

「福岡!  長崎!」

筒を振り回しながらはしゃぐなるひこ。

「先生ってマジで地理苦手ですね」

「…マンガが売れたら見に行ってみようかな。

いろんな本屋」

「それ良か目標ですね」

とし坊は笑顔で言いながら、なるひこの筒ににじり寄ります。

「それどんな感じに見えるんですか?」

「え?  なんでそこに興味が?

見せないよ、これはオレの望遠鏡なんだから」

筒を隠そうとするなるひこですが、咄嗟にその筒を掴むとし坊。

「ズルイ!」

「ズルイってなんだよ!」

「ちょっとだけじゃないですか!」

「そんな簡単に手に入ると思うなよ!  ていうか本気で世界が見えてるわけじゃないからね!?」

「ズルイ!!」

「ズルくない!!」

という小学生じみた取り合いを2人がしていると、なるひこの家の電話が鳴りました。

「ん?  電話?」

「ですね」

「はいはい…もしもしー」

なるひこが電話を取りに筒を離した隙に、とし坊が奪います。

しかし、電話の内容はそれどころではありませんでした。

「えっ、緊急!?  きっ…」

『そうです。

緊急重版です』

「重版!?」

『いやぁー、元の部数が少ないとは思ってたんですよ。

私は最初からもっと多くした方がいいって言ったんですけど、1巻は難しいですね』

重版、という言葉が信じられず受話器を耳に当てずに凝視するなるひこ。

『ネットでの評判も良かったですし、書店員さんも力を入れてくれてたみたいで。

それで原稿で直したいところがあれば…遠野さん?  遠野さん聞いてます?』

その担当者の声も虚しく、なるひこは家を飛び出していました。

慌ててとし坊が追いかけます。

「先生ー!  どうしたんですかー!!」

「とし坊!」

「はい」

走り続けながら会話をする2人。

「重版ってわかる!?」

「はい、ドラマで見たことあります!

マンガが売れないとできないやつですよね」

「そうだ!  つまりは」

「わっかもんは売れてるんですね!」

「そうだ!  売れてるんだ!!」

なるひこは、実家へと走っていました。

その頃実家では、母が庭先の花の手入れをしていました。

「今年も姫金魚草が咲いたばい」

そこに突如やってきたなるひこ。

「母ちゃん!!」

「は?  なんな?」

「オレのマンガ売れだした!」

「は?」

「じゅうはんだそうです」

とし坊も少し遅れてやってきます。

「あぁ?  なんなそりゃ。

何冊売れたら売れたことになっとな?」

「えっ…?  100万冊?」

「なんなそりゃ」

「先生そりゃさすがにないです」

「え…よくわかんないや…何冊売れれば売れてるんだろ」

「担当さんに聞いた方がいいですよ」

[重版なんて初めてだから、これでもかと舞い上がってしまった]

少し落ち着き、家に戻ったなるひこは担当者に尋ねようとしました。

担当者からかかってきた電話は繋がったままでした。

「もしもし林さん?」

『もお!  どうしたんですか、ビックリしました』

「あ、待っててくれたんですか?」

『待ちますよ。

これからの話ですけど、』

「あ、少し描き足したいとこが…」

嬉しそうに電話をしているなるひこを見て、筒を覗くとし坊。

「あ、こんな感じか」

その先には、空がありました。

[日常にはゴールがなく、魔王を倒したり宝を手に入れるなんて目標はない。

ただコツコツと今日を生きていく。

そんな若者を描く。

このマンガが本当に大ヒットしたら私の日常はどう変わるのだろうか。

机に向かって絵を描くのが私の日常]

「あっ!  ああー…出てしまった」

別の日、なるひこは原稿作業をしていました。

「どうしたんですか?」

「船…また船描かなきゃ…」

「おっ、取材ですね。

行きましょう!」

[ゴールもなく、魔王もいない。

ペンネーム遠野なるひこ。

職業マンガ家。

私の物語にマンガっぽいあおりをつけるとしたら。

これは、しがないマンガ家のどうでもいい日常の物語だ]

ヨシノズイカラ【第5話】感想

今回もとし坊のサラッと酷いセリフがキレッキレでしたね(笑)。

お母さんもいい味出してますし。

この回では、ファンレターの有難みや重版についてが描かれていました。

読者にとっては些細なことでも、作家さんの活力になるとっても大事なことなんだなと痛感。

林さんがどんな感じの人かも気になる所。

いつかは登場するのかな、と思いつつ次回も待ちわびていたいと思います!